
福岡市城南区にある友泉亭。元々は旧福岡藩主黒田家の別邸として設けられた屋敷である。広大なその敷地の一部を福岡市で初めての池泉回遊式日本庭園として整備し1981年に「友泉亭公園」として開園されている。
「友泉亭」の名前は江戸時代の公卿(くぎょう:身分の高い公家)久世通夏が詠んだ歌「世に堪へぬ 暑さも知らず 沸き出づる 泉を友とむすぶ庵は」に由来する。
紅葉の名所としても知られており、11月末の最盛期に訪れることができた。長い通路と竹垣も美しい。中の様子が窺えないだけに期待が高まる。


門の奥に切り石の延段。サイズのばらつきと適度に入る斜めのラインが心地よい。絵に描いたようにモミジの葉が散っている。

モミジも美しいが、アセビの緑も鮮やかに映る。
縁、石、コケもモミジと相まって極上である。

園路脇にひっそりと佇む建物があった。こちらは「如水庵」と名付けられた茶室だという。その名は黒田如水(黒田官兵衛)に由来する。数寄大名の名にふさわしい市中山居の侘びた草庵である。

大広間から池に向かって大きな濡れ縁が張り出していた。ここにもモミジ葉が散っている。意図せずこれらを踏んだときのカサカサと足裏に伝わる感覚が何とも心地良かった。蛙手(かえるで)と呼ばれるモミジならでは葉の造形が生む、この時期だけの貴重な快感を味わうことができた。
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