今年は渓流を歩くたびに薄い青緑色のコケをよく意識してしまう。

枯れ落ちたスギの枝にも着いていた。これはウメノキゴケという地衣(ちい)類だという(分類としてはコケとではない)。古くなった樹木に菌が着生して育っていく、「寄生」ではないので養分を吸い取ったりはしていない。代謝が衰えた樹皮に着いて生きている。

サクラの幹にも着いているのも良く見る。ウメノキゴケの名前の通りウメにも着生する。生け花として活けてあるウメにウメノキゴケが着いているものの方が老木の侘びた感じが出ていて味わい深いと思う。

上の写真のサクラにはウメノキゴケは着いていないが奥の東屋の屋根がウメノキゴケと全く同じ色をしている。この色は銅板につくサビの一種である「緑青(ろくしょう)」によるものだ。ウメノキゴケと緑青は生物と無生物という決定的な違いはあるが、どちらも経年したものを覆う青緑色の物体という共通点が大変興味深いと感じた。
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