阿蘇溶結凝灰岩

緑川の上流域にはグレーに黒い斑点が入った石が多く見られる。阿蘇溶結凝灰岩(あそようけつぎょうかいがん)という名称で熊本では「灰石(はいいし)」とも呼ばれることも多い。
黒い斑点の部分は縄文時代に矢じりなどとして使われたとして名高い黒曜石である。ガラス質でつやつやとしている。全体には柔らかい石の部類に入る。釣りの際に石の上を歩いても割りと滑りにくいので助かっている。多孔質でグリップが効きやすい。
柔らかいので侵食も受けやすいのだろう。岩盤がクレーター状に侵食され月面のような異様な景をつくっている場所もあった。
また側面が水に侵食され曲線を描いた岩盤もあった。
中には赤味を帯びた阿蘇ピンク石、馬門石(まかどいし)と呼ばれる石も転がっている。

この石は熊本県宇土市網津(おうづ)町馬門地区から産出されることにその名はちなんでいるが、古墳時代には熊本から近畿まで運ばれ(古墳の中の)石棺として利用されていたというから驚きである。

確かに加工しやすい石質であることは間違いない。グレーの灰石も灯籠、水鉢などに今日でもよく加工され利用されている。水系や河川によって石の種類も大きく変わることは大変興味深い。

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