
佐賀県伊万里(いまり)市の大川内山(おおかわちやま)。周囲を険しい山に囲まれた道を登ってゆくと、小さな坂道沿いに想像以上にたくさんの陶房があり、隠れ里の雰囲気が漂う。
江戸時代にはこの地が佐賀藩、鍋島家の藩窯とされており、朝廷や将軍家、諸大名へ献上する質の高い焼き物が造られていた。その高度な技術を守るために、関所を設けて人の出入りを管理していた。山に囲まれ関所で管理しやすい、この場所が選ばれたのだろう。

入口には華やかにに装飾された橋がある。この橋に施された焼き物は白磁(はくじ)と呼ばれる乳白色の磁器で精巧で鮮やかな絵付けが施されている。
石粉を高温で焼いた磁器は、緻密な材質のため硬く、叩くと金属的な音がする、吸水性も極めて低い。そのため耐久性も極めて高い焼き物である。
壺や壁タイルも見事だが、不揃いにに割れた小片をモザイクとして張り上げた部分に心惹かれる。

そして、奥まったひっそりとしたところには、先ほどの橋とは対称的にしっとりと苔むした、侘びた雰囲気の橋がある。「トンバイ」と呼ばれる、登り窯で使われていた耐火レンガで造られているとのこと。
華やかで美しい橋と渋く落ち着いた橋がすぐ側に在ることに面白さを感じた。この「華美」と「侘び」の対比は、「美しく整えられて彩られた磁器」が「山間にひっそりと佇むこの街並み」で造られていることに重なっているように感じられた。
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