
こちらは熊本市西区島崎の釣耕園(ちょうこうえん)の好きになった景の一つである。駐車場側の入り口から入ると、山すそに沿って、10センチにも満たない浅いが清らかな流れが、園内に流れ込んできている。砂や小石の底に所々大きな石が転がり、その脇にはセキショウなどが絵に描いたように生えている。
その石の上に雪見灯籠(ゆきみとうろう)が一つ据えてある。十年も前の私なら、自然の中に、わざとらしく据えられた灯籠を良く思わなかったと思うが、今はこれが心地良い。

うっすら苔むしており、昨日今日据えられた雰囲気ではない。しかし、完全に苔に覆われていない感じが浅く清らかな流れと合っている。灯籠は全貌が見えているよりも一部は物陰に隠れるなど、どこか控えた佇まいを演出するのが定石だろうが、こちらは露わになった上に、石の上にも載っている。異形であるのに違和感がない。
さらに笠の上には擬宝珠(ぎぼし)なとではなく、不整形の石が明らかに芯を外して載っている。意図的なものかどうかは判らないがこれがまた最高である。
自然の中に人の働きかけが感じられる景を個人的に「半自然」と呼んでいるが、この灯籠は森、湧水の流れという自然の中に据えられ、半自然となっているが、その人工物の上に自然のままの石が、作為が無作為なのか載っかっているという、絶妙な均衡を保っている。
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