数年前に訪れた福岡県久留米市の遍照院(へんしょういん)庭園。11月の終わりだったか、紅葉の盛りだった。久留米市内中心部に位置するが、「寺町」の名の通り、お寺が林立する中にあるので、特有の落ち着きがあったが、その中でも庭園の最奥にひっそりと佇む茶室「以白庵(いはくあん)」の周囲はより一層の静けさが漂っていた。そこで印象深かった、「延段」と「袖垣」を紹介したい。

こちらの延段は切石と自然石を組み合わせた、「真・行・草」に分類するところの「行」の延段になると思う。かしこまり過ぎず、崩し過ぎず、何度も眺めたくなる景である。切石に曲線が用いられているところが、極上たる所以だと思う。

赤いモミジ葉と濡れた延段の共演。年に一回見られるのか、どうかの貴重な絵面だろう。運が良かった。「あられこぼし」状に散らされた石の目地がモミジの赤で埋まる様がたまらない。

飛石は、大きさのばらつきがあり、天端もそれほど平坦ではない。自然に据わっていたかのようで、野暮ったさが全くない。そして、茶室の脇にある袖垣が何とも秀逸である。穂垣なのだが、このような異様に「穂」の密度が低い穂垣は初めて見た。元は密であったものが、抜け落ちた可能性もあるが、これほどに程よい「侘び寂び」を感じさせてくれるだろうか。

裏から見ると劣化が進んでおり、心もとなさは否めない。


茶室に続く園路には見事な池泉回遊式庭園がある。本来こちらが庭のメインだろう。あいにく池に水は張られていなかったが、マツもモミジも美しいものだった。
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