障子や格子あっての良さ 佐賀市 福田家住宅


佐賀市中心部にある福田家住宅。佐賀を代表する実業家の住まいとして、明治時代に造られたものだという。いきなり「佐賀錦」の幟が目に入るが、伝統工芸の手織りをこちらで体験できる施設にもなっているらしい。
訪れたのは5月。新緑が美しい。門と玄関の動線がクランク状にずらしてあるところが奥ゆかしい。青みの入ったダークグレーの壁が感じ良い。柿渋色となった木部や新緑とのコントラストが抜群である。

建物内はかなり広く、軽く迷うほどである。これまで、こんなに大きな日本家屋を体験したことがないかもしれない。そして、特徴的だったのが、上下が磨(す)りガラスとなった建具が多用されていることである。
主庭だけでなく、各所につくられた庭が上手く切り取られて見える。上は隣家など、下は実用的な部分などが見え過ぎることによるノイズを上手く排し、メイン部分に焦点が注がれるように感じ、好感がもてた。

縁側から眺めた庭も、悪くはないが、先の障子越しを体感したあとあでは「露わ」過ぎる感は否めない。
ハランの葉と花が清浄な印象を添える。手水鉢の脇にふさわしい。それにしても手水鉢の石が大きい。逆に小さく掘られた水鉢が面白い。この大きな石を縁から離して、別の濡れ縁が加えてあるあたりも、狙った意匠のように見えて、なおよく見える。

2階の格子越しに庭や門、通りを眺めるのは初めてだった。当時から大きくは変わっていないだろう、その景色に浪漫を感じた。いまにも着物を着た女性が風呂敷を携えて、小走りで通りそうな景色である。

室内の奥まった場所に茶室が設けてあった。下が空いている袖壁には、瓢箪(ひょうたん)型のくり抜きが施してあり、最も特徴的である。他に板の間の天井が片流れとなっており、斜めに見えているところや、障子の鍵となっている「つっかえ棒」の斜めも縦横に整えられた室内の適度な「はずし」となっていて好きだった。




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