シンボリックな タイサンボク

熊本県合志市にある竹迫(たかば)城跡公園。かつて「天然の要害」と呼ばれた起伏がある土地。自然が創り出した土手や堀は芝生が枯れ上がった冬の時期は砂丘のような表情となっている。
その丘にタイサンボクが植えられていた。それほど高くはない樹高だが、力強い重厚な幹から太い枝を水平に近い角度で張り出し、厚手の艶めかしい葉を密にまとっている。やはり、シンボルとしてふさわしい樹木である。

日本各地に見られ馴染み深い樹木であるが、実は移入種だった。その名前から中国原産を想像したが、なんとアメリカ原産である。
葉の裏がゴールドに近い色であることも、品よく見える要因である。そして、純白の大きな花が魅力的である。同じ科のモクレンに似た花だが、モクレンより数は少ないが、立派な葉が脇を固めるせいか、よりデラックスな印象を受ける。モクレンが初春の開花であるのに対し、タイサンボクは梅雨期に花をつける。

タイサンボクは泰山木(大山木)という漢字表記となる。これは中国の名山である「泰山(タイサン)」にタイサンボクの花や葉の大きさをなぞらえたことに由来するとのことであるが、牧野富太郎博士が提唱する、花を大きな盞(さかづき)に見立てた「大盞木(タイサンボク)」とする説が有力であるとのこと。

そして、タイサンボクを見るといつも祖父のことを思い出す。実家にかつて祖父が植えたタイサンボクがあった。コンクリートの駐車場の一角の植栽帯に植えられ、比較的小さく抑えられていた。根元は斑の入ったササで覆われていたと思う。庭が好きで、いつも庭に居た祖父とタイサンボクの絵が浮かんでくる。そういった意味でも私にとってシンボリックな樹木である。

コメント