「金」や「ゴールド」という色に対して、豪華さや高級感などを感じることはあったが、どこかに華美や嫌味なイメージが、かすかにつきまとう雰囲気を感じ、諸手を挙げて好きだと思うことは無かったように思う。しかし、そのイメージを振り払う、これまで体験した色とはかなり異なる印象の「金色」に出会うことができた。

熊本県上益城郡嘉島町にある日本画工房 浮島館・別邸のGUESTHOUSE。その天井には漆塗りと思われる黒々とした艶めく格子に区画された様々な植物が描かれている。その背景は紛れもなく、全て金色なのだか、出過ぎた派手さや嫌味が微塵も感じられない。

これまで知っていた「金色」ではなく、何か別の新しい色に出会ったような不思議な感覚だった。あっけに取られている間に、一つ思い出したことがあった。
漫画「へうげもの(ひょうげものと発音)」の作中で、ある夜、主人公の古田織部が大坂城内にて、弟子の上田宗箇を従えて、製作中の「黄金(きがね)の茶室」をこっそりと覗きにいった際に、その茶室を「意外にも、妖しく、渋い」と評していた。このことを思い出し、体感を持って感じることができ、非常に嬉しくなった。

こちらの金屏風も同じ様相である。ハクモクレンが上端に描かれ、大きな余白が金である。細い竹の骨で造られた和風のスタンドライトに照らされ、幽玄の美しさがある。
「結び柳」と呼ばれる縁起物。柳の枝を輪とすることで、無事に回って戻れるようにという、旅の安全を祈ったという中国の故事に由来するものである。
さらに、この柳の枝は直ぐそばの川辺の立ち木のものだとのこと。特別にあつらえたものではなく、そこにあるもので精一杯もてなすという、千利休の心掛けに近いものを感じて、その良さをさらに噛みしめることができた。

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