
11月に入り、南阿蘇で色づき始めたシャラことナツツバキ。ヒメシャラは熊本市近郊でよく見るが、シャラを見る機会はほとんどない。ヒメシャラの「姫」の名にふさわしい繊細で緻密な枝葉、そして花のつき方も好きだが、やや作りが大きく粗いシャラも良いものである。

真ん中に花の後が見られるが、やはり茶花にはヒメシャラよりもシャラの花の方が、床の間や花器に映えるのではないかと、茶の心得はないが想像してしまう。
昨年、とあるお寺の涅槃像の脇ににヒメシャラが植えてあった。仏陀がその木の下で入滅した(亡くなった)とされる「娑羅双樹」を意図した植栽だろう、本来はヒメシャラでなくナツツバキの2本立ちなのだろうがな…と思ったことがあった。しかし、これも誤りだったことを知った。
平家物語の冒頭の「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色…」の「娑羅双樹」は2本立ちのシャラを意味するとばかり思っていたが、実は別にサラソウジュ(サラノキ、沙羅の木)と呼ばれる、熱帯性の樹木があるのだという。サラソウジュが生息しない日本ではナツツバキを、沙羅双樹に見立てられることご多いという。名前も似ているが、花も似ている。さらに花がすぐに散ってしまうことが、仏教の根源的な教えである「諸行無常」(全ての事柄が常に同じではなく移ろいゆくものであるということ)に重なることもこの「見立て」の背景となっているとのことである。
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