長崎県雲仙市国見町の鍋島邸。ここは佐賀藩の飛び地であった神代町の領主を務めた神代鍋島家の邸宅である。領主の住まいにふさわしい格式ある大きな建物が建っているが、庭も見どころが多い。

L字型の縁側に面した主庭。建物近くにモッコクが植わっている。大きな飛び石が続いており、回遊式の枯山水庭園となっている。

庭の先はなだらかな斜面となっている。芝生が褐色だからこそのまわりを引き立てる美しさがあると思う。築山や斜面は夏よりも冬の景色が個人的には好きだ。

庭への入り口近くの山すそには枯流れがある。かつては池泉式の庭園だったという、その名残がある。

やはりどこへ行っても、眺めては写真を撮ってしまうのが、「縁側」である。折れ曲がっている縁側が好みだ。モッコクの影が落ちている姿も良い。

犬走りには島原半島産と思われる安山岩が「あられこぼし」で仕上げてある。赤みがあるもの、青みがあるもの(濃い灰色)、白っぽいもの(薄い灰色)の3色で構成されており、落ち着きの中に程よい華やかさが感じられる。

何気ないようで、このマツが入った植栽の島もすごく良い位置にある。


多くの石が使われているが、「磯」を感じさせる表情のものが多いように思う。それだけに「芝生=海」の見立てが容易に成立し、この庭の最大の魅力の一つとなっているように感じる。

山から庭を見下ろす。右手にマキだけが、まとめて植えてある。このような造り方を初めて見るが、これが海辺の松林のように見えてくる。実際にマツを植えるよりも松林風に成っているような気がしてならない。

マキの側に、池泉の跡と思われる場所がある。

蔵のような建物は土壁ではなく、板壁だった。
窓に貼られた銅板も珍しいものだった。

国指定重要文化財である長屋門のかんぬき(閂)の掛け金。槌目(つちめ)模様が美しく、つい触れてみたくなる。

トイレ入り口。のれん(暖簾)は男女それぞれ用を示すサインとしても機能している他、目隠しや門(結界)としても役割りを果たしている。この頃、のれんの良さを感じる機会がとても多い。

こちらは裏面。現在の鍋島邸へのメイン通路となっている。表と同様に隙間なく積み上がっているが、石積みに野面(のづら)の自然で柔和な表情が見られるところが、また良い。

周辺は神代小路(こうじろくうじ)と呼ばれる武家屋敷群となっており、生け垣や石積が織り成す街並みが素晴らしい。

駐車場の脇あった竹細工で覆われたカラーコーン。粋な演出に拍手を送りたい。


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